【薬剤師監修】毒か薬か、毒物の意外な利用法について

【薬剤師監修】毒か薬か、毒物の意外な利用法について

薬の紀元

たいていの薬は、使用方法を間違えれば副作用は出てきます。
この副作用は、程度程度によっては、いわゆる「毒性」の反応ととらえることもできます。
ですから、「薬と毒は表裏一体」と考えて、できるだけ薬(医薬品)を飲まないようにしたり、オーガニック製品を求めたりする方もおられるようです。

しかし、従来の人間の歴史の中で開発されてきた薬には、天然の毒物の研究から始まっているものが多くあります。

トリカブトの意外な利用法

 紫色の綺麗な花を咲かせる「トリカブト」。このトリカブトには猛毒の「アコニチン」と呼ばれるアルカロイドの仲間の毒が入っています。

トリカブトは、本州ではおもに山岳地帯に自生しています。北海道では、ドライブをしていても道端でこの花を見ることもできます。毒性が強く簡単に手に入るものですから、この新芽を山菜と間違えて食べてしまったり、あるいはミステリー小説の殺人事件の題材として使われたりします。トリカブトの種類や産地によって、毒性の強弱があり、北海道銭函産のトリカブトの毒が一番強いという研究報告もあります。

アイヌの人たちは、この毒性を良く知っていましたのでヒグマなどの獲物をとらえる時の矢じりに塗っていたと言われます。

このようなトリカブトですが、じつは漢方薬の「附子(ぶし)」として利用されています。
そのまま使用すると毒性が強いので、加熱などによって加工し、適量を漢方処方として他の薬草と一緒に煎じて飲みます。
アコニチンには強心作用がありますので、心臓の働きや冷え性を改善すると言われています。

女性を魅了した毒素

ベラドンナ

ナス科の植物「ベラドンナ」は中世ヨーロッパでは、貴婦人たちが利用していました。
このベラドンナのエキスには、アトロピンという成分が入っていて、それを点眼すると瞳孔が開きます。
もちろん、このような使い方は非常に危険極まりないのですが、パッチリした瞳を手に入れたい女性の勇気には恐れ入ります。現在では、医薬品として胃薬や目薬に硫酸アトロピンが用いられています。
ベラドンナ

 ボツリヌス毒素

もう一つの毒素は、ボツリヌス菌から産生されるボツリヌス毒素です。もともとは、食中毒の原因毒素として極めて毒性が高いことが知られています。しかし、美容分野ではこの毒素をほんの少しだけ顔に注射することによってシワの治療に使用しています。ボツリヌス毒素の筋肉弛緩作用を利用してシワを伸ばすのです。この方法は、専門知識と高度な技術が必要になります。

天然由来の毒物が薬として使われている例はまだまだあります。ですから、「薬だから危険」、「オーガニックだから安全」と考える前に、正しい情報と適切な使用方法が大切ではないでしょうか。

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