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【薬剤師監修】キノコ系健康食品のあれこれ

【薬剤師監修】キノコ系健康食品のあれこれ

キノコから採れた有効成分

「健康食品」、「サプリメント」と聞いてどのように感じるでしょうか。これまではどうしても、科学的根拠に乏しいイメージがありました。 しかし、近年の科学技術の発展に伴って、有効成分や薬理効果などの細かい分析もできるようになってきました。健康食品ではトクホや機能性表示食品が代表的です。 それらの申請に用いられているデータについては、学者の間でも賛否があるようですが、健康食品の安全性や有効性の評価に対する前向きな姿勢は大切だと思います。健康食品の中でも以前から利用されていたキノコ系の素材ですが、3つの有名なキノコについて少し考えてみましょう。

霊芝を使った健康食品

 霊芝(レイシ=マンネンタケ)は歴史的にも古くから利用されています。中国では、約2,000年前の「神農本草経」に登場します。 「神薬」、「仙薬」とも呼ばれていたこのキノコは、その命名のとおりに大変珍重されており、上薬、中薬、下薬の中でも上薬に分類されていました。 霊芝けれども不思議なことに、漢方薬処方の原料として利用されていた文献はほとんど残っていないようです。これは、天然の霊芝が極めて貴重で、見つかるとすぐに消費されてしまうので、薬の原料としての流通にまで至らなかったことが考えられます。しかし、1960年頃に霊芝の人工栽培が可能になると、多くの学者が安全性や成分、薬理効果の研究を実施して健康食品の原料としても注目を集めるようになりました。霊芝の特徴的な成分として、βグルカンのような多糖類の他にガノデリン酸というトリテルペノイドも報告されており、アレルギーなどの免疫疾患から血圧や糖尿病など幅広い機能性研究がなされているようです。

アガリクスを使った健康食品

 アガリクス・ブラゼイと呼ばれ、ブラジルが原産です。1990年代頃に、キノコ系の健康食品の火付け役にもなったので良く知っている方も多いのではないでしょうか。しかし、残念なことに2003年にアガリクス製品による劇症肝炎の関与の疑いが報道されました。 アガリクスの名誉のために申し上げますが、その後の詳細な調査でアガリクスの食品との安全性の研究データが発表されています。結局、副作用情報はアガリクスそのものの問題ではなかったのかも知れません。ここで考えさせられるのは、どのような菌種、製造・加工方法、品質管理、どのような形状で流通しているかということです。 メーカーや製品ごとに大きな差が出てしまっては消費者も困ってしまうでしょう。このような問題が起きたがゆえに、現在では品質管理の向上はもとより、安全性やがん患者さんへの臨床試験などの研究が積極的に行われております。

シイタケを使った健康食品

シイタケは、私たちの食生活でも非常に馴染みのあるものです。同時に、シイタケから抽出された「レンチナン」という薬は抗がん剤としても利用されています。霊芝健康食品としては、シイタケの菌糸をさまざまな方法で培養された成分が利用されているようです。 その中でも注目したいのはAHCC(エー・エイチ・シー・シー)というシイタケ菌由来の健康食品です。なぜかと言いますと、科学的データが他の健康食品と比較しても群を抜いているからです。また、製品もヨーロッパ、アメリカ、東南アジアなど世界各国で広く利用されていることからも、その信頼性を知ることが出来ます。AHCCは、特にがん・免疫の分野における研究論文が多いですが、これだけ科学データが多いにも関わらずトクホや機能性表示食品としては認められておりません。その理由は、免疫などの指標がまだ一般化されておらず、消費者庁でも国内で「免疫食品」といった機能性表示に前例がないことなどが考えられます。

キノコがもたらすがんに対する効果

キノコ系健康食品の多くは免疫を高める作用があるために、がん患者さんが利用するケースが増えております。「がん患者さんが利用する健康食品=あやしい」と思いがちですが、ていねいに科学的データを調べてから判断する必要がありそうです。 参考資料: がんの補完代替医療ガイドブック第3版(厚生労働省) 統合医療機能性食品国際学会ホームページ http://icnim.jpn.org/ 

PROFILE

北海道薬科大学薬理学分野 准教授、薬剤師、医学博士若命浩二
米国テキサス大学医学部ヘルスサイエンスセンター留学時代に「臨床栄養学」の奥深さに感銘。
帰国後は、従来の漢方薬、天然物化学などの薬学のカテゴリーにとらわれず、食品からサプリメントまで幅広いジャンルを研究テーマにしている。
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