化粧品から医薬品まで
日本の春の花はなんといってもサクラです。
ソメイヨシノが一番有名ですが、ヤマザクラ、オオシマザクラなど多くの品種が知られています。
サクラは観賞用として楽しむものだけではなく、その果実はサクランボとして高級フルーツになりますし、葉は桜餅に使用されて良い香りを楽しむことができます。また、塩漬けにした花はお茶としても親しまれます。このように、サクラは私たち日本人の生活を楽しくさせてくれる植物ですが、まだまだ意外な効用があります。
クスリとしてのサクラ
生薬では、桜皮(オウヒ)としてサクラの木の樹皮を乾燥させたものが知られています。
漢方的には排膿、解毒などの効果があります。この桜皮のエキスは医薬品(シロップ剤)でもあり鎮咳、去痰薬として使用されてきました。「されてきました。」というのは、この医薬品は2016年に販売中止になってしまったからです。
理由ははっきりしませんが、原料がサクラの樹皮であるために入手が困難になってきたとの推測もあります。天然資源はやはり大切に使う必要がありますね。
化粧品としてのサクラ
化粧品原料としては、サクラの葉が使われています。
化粧品原料には、国際的にInternational Nomenclature of Cosmetic Ingredients(INCI:インキ)名という名称が全てつけられていますので、このINCI名を調べるとどのような素材が化粧品に利用されているか分かります。実際に調べてみると、桜葉もCERASUS YOUKOU LEAF EXTRACTという名称でINCI名を見つけることができます。
ちなみにCERASUSというのはラテン名で「サクラ」という意味ですね。
また、YOUKOUというのは愛媛県産の陽光という品種を指します。この陽光桜の葉から抽出したエキスには抗酸化作用、美白作用などがあるために化粧品として広く利用されています。
健康食品としてのサクラ
サクラの花のエキスは、アンチエージングに対応する健康食品原料としても知られています。フェニルプロパノイド、フラボノイドなどの成分があり、抗糖化、美白、美肌などの研究がされています。
特に体内の糖化作用は、糖化最終産物(AGEs)によってコラーゲンなどの劣化が起きてしまい、老化の促進物質と考えられています。サクラの花のエキスは、このAGEsの生成を抑制することによってアンチエージング効果が期待されるという訳です。春に満開になる桜の花を楽しむときに、併せて健康や美容のことなども思い浮かべてみるのも良いかも知れませんね。

参考Web:
http://www.cosmetic-info.jp/jcln/detail.php?id=12766
https://www.oryza.co.jp/product/detail/genryo_koka.html
関連